TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「詳しい話を聞かせてもらおうか」

「好きだ」
 ある日突然、月森から向けられたその言葉に。
「何、言ってるんだよ、そんな冗談、笑えないぜ」
 それでも笑いながら返したら。
「冗談ではなく本気なんだ」
 真っ直ぐで嘘のないその表情を言葉と共にすまなそうな顔へと変えるから。
「そんな顔すんなら告白なんかすんな、馬鹿」
 逆切れ状態で思い切り怒鳴って、その場から立ち去ってしまった。

 あの日から俺は月森を避けている。
 月森も俺を追いかけてくるようなことをしなかったし、今も会いに来るようなことはしない。
 だから避ける必要もなく、それでも心が月森を避けようとしている。
 気を抜くと考えてしまうから。
 月森の言葉を、その意味を、その顔を、その眼差しにあった月森の本気を。
 気を抜くと思い出してしまうから。
 すまなそうな月森の顔を見た瞬間に、俺が感じてしまった不可解な気持ちに。

 月森は俺を好きだと言う。
 俺は月森を嫌いなのかと自分に問えば、たぶんそうじゃない。
 じゃあ好きなのかといえば、たぶんそれも違うような気がする。
 それでも、好きだと言われたときに嫌な気はしなかった。
 驚きはしたが、そして嬉しいと思ったわけでもないが、本当に嫌悪感は全くなかった。
 だから好きだと言った月森の顔が、まるで後悔を表すものに変わったときにムッとした。

「あんな、すまなそうな顔するなよ」
 胸に、何かが込み上げてくる。
「本気だって言うならもっと押してくればいいんだ」
 思わず文句の言葉が漏れる。
「そうしたら…」
 ぐっと込み上げたものを心の奥底に押さえ込んだ瞬間。
「その続きを、詳しく聞かせてくれ」
 ものすごい力で腕を引かれ、驚いて顔を上げるとそこに真剣な顔をした月森が立っていた。

 もう、逃げられない。
 月森の気持ちからも、俺の、本当の気持ちからも。



2013.11
拍手第19弾その5。
月森の告白から逃げ回る土浦

紅茶が逃げる土浦君を書くと、かなりの確立で
すでに好きでどうしたらいいかわからない状態で
逃げ切れていないという設定になります。
だって、好きなんだもん!って、開き直ってみました!