『音色のお茶会』
「熱帯夜の過ごし方」
暑くて眠れなくて、同じように眠れないらしく隣で寝返りを打った土浦を誘って外に出た。夜になっても水分を多く含んだ空気は熱を帯び、ただ立っているだけでも汗がじっとりと浮かんでくる。
「外に出ても暑いな」
風でも吹いていればまだ少しはいいのかもしれないが、残念なことに木々の葉はピクリとも動かない。
そしてこの暑さに負けじと鳴く蝉の声が、体感温度を更に上げているような気がした。
「天気予報でも熱帯夜になるって言ってただろう」
夏だし仕方がないという口調で苦笑いを見せる土浦の、街灯と月明かりに照らされたその顔を、俺はじっと見つめてしまう。
隣にいることが当たり前になってもう何年も経つというのに、好きだと思う気持ちはあの頃よりもずっと、今のほうが強い。
「土浦…」
衝動のままに引き寄せてキスをすれば、触れる肌がやけに熱い。
まとわりつくような空気の暑さに、違う熱さを思い出して更に体温が上がる。
「暑いんじゃなかったのかよ」
キスの合間にささやかれるのは甘い吐息ではなく文句に近い言葉だったが、それでも土浦の手は俺のシャツを軽く握り締めていた。
更に引き寄せれば触れる肌からいつもより高い体温が伝わり、俺は堪らない気持ちになった。
「もっと、あつくなりたい…」
ささやいてキスを深くすれば、答えるように土浦の舌が絡んでくる。
くらくらと眩暈を起こしそうなほどの熱さをもっと感じたくて、土浦の肌に手を伸ばした。
「部屋、戻ろうぜ…」
とろりと溶けてしまいそうな眼差しに、理性の箍が外れる。
熱帯よりも遥かに熱いその場所に、俺はゆっくりと足を踏み入れた。
2013.5
拍手第18段その2。
イチャイチャな感じ
甘い雰囲気にはなっていると思うのですが、
イチャイチャまではしてないですよね、これ…。
これもまたいつかリベンジしたいです!
拍手第18段その2。
イチャイチャな感じ
甘い雰囲気にはなっていると思うのですが、
イチャイチャまではしてないですよね、これ…。
これもまたいつかリベンジしたいです!