『音色のお茶会』
「仲直りの金曜日」
金曜日の朝、通学の途中で土浦に会った。一瞬、目が合って、思わず逸らしてからまた土浦へと視線を戻せば、同じタイミングで逸らして戻ってきたらしい土浦ともう一度、目が合った。
仲違いをしている最中とはいえ時間が経てば頭の中は冷静になっていて、今ここでどうするべきなのかは頭で考えるよりも先に土浦へと歩み寄る行動へと表れていた。
そして同じようにこちらへと向かってくる土浦の顔に笑顔が浮かび、俺の顔もまた、自然に土浦へと笑みを向けていた。
おはよう、と言う二人の声が重なり、ごめん、と言った二人の声がまた重なる。
お互いに驚き顔を相手に向け、思わず小さく笑ってから同じ方向へと一緒に歩き出せば、それ以上の言葉はもう、要らなかった。
性格も考え方も正反対なのに、こんな風にお互いの気持ちも想いも解り合えることを不思議に思った。
いや、正反対で解り合えないからこそ解ってほしいと思って意見が衝突し、少しでもお互いを知りたいと思うから解り合おうと努力しているのかもしれない。
解らないからと切り捨てるだけだった俺に、選択肢はそれだけではないのだと気付かせてくれたことを嬉しいと素直に思う。
そして俺たちは他愛のない会話を交わしながら、いつもの通学路を並んで歩いた。
2012.6
拍手第14段その5。
Friday of reconciliation
今日からまた新しい日々が始まる
言葉でどうこう伝えるのは苦手そうな
二人だなぁって思うのですがどうでしょうか?
拍手第14段その5。
Friday of reconciliation
今日からまた新しい日々が始まる
言葉でどうこう伝えるのは苦手そうな
二人だなぁって思うのですがどうでしょうか?