TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「eye」

 土浦から向けられる視線はいつでも俺を睨むかのように強く、けれど逸らされることなく真っ直ぐに向けられていることがどこか嬉しかった。
 敵意を向けられることは子供の頃から慣れている。そしてまるで媚を売るかのように作られた友好的な視線にも慣らされてしまった。
 けれど土浦の視線はそのどちらでもない。
 友好的なことなど一度もなく、けれどあからさまな敵意とはまたどこか違う。
 ただひたすら真っ直ぐに俺を見て、嘘偽りのない気持ちを向けてくれていた。
 だから俺も真っ直ぐに、土浦だけを見返すことが出来た。

 土浦から向けられる真っ直ぐな気持ちが嬉しかった。
 だから俺も、心のまま、ありのままの自分で向き合いたいと思った。
 じっと土浦を見据えれば、土浦の気持ちが少しは理解出来るような気がした。
 真っ直ぐな気持ちを向ければ意見は衝突するが、お互いをより深く理解し合えることも出来た。
 本心を隠さずにさらけ出せば、土浦も同じように本心を返してくれた。

 そしてあるとき、ふと見せられた笑顔に俺の胸は高鳴った。
 今まで俺に向けられることなどなかったその笑顔は他の誰でもない俺だけへと向けられ、土浦は本当に楽しそうに笑っている。
 その瞳を見つめればますます胸は高鳴り、そして俺は土浦のことを好きなのだと、そう気付いた。

 好きだと、心からそう思った。
 土浦の真っ直ぐな視線が、俺にそれを気付かせてくれた。
 だから俺も真っ直ぐに見つめ、この気持ちを伝えようと思う。
 俺の気持ちが土浦に届いたら、とても嬉しい。



2011.1
拍手第10段その5。
eye(目 視線)

またまた自覚話。
真っ直ぐに相手を見るということは、
土浦君的にはきっと無意識なのでしょうが、
月森君的にはぐっときちゃうと思うのですよ。