『音色のお茶会』
「寝顔さえも愛しくて」
目が覚めたら、隣に土浦が寝ていた。朝はあまり強くないという自覚はある。
目覚ましで目が覚めないわけでもないが、気が付くと時計の針は更に先へと進んでいる。
だから俺が土浦に起こされることはあっても、先に起きることは滅多にないことだった。
でも今は、土浦の寝顔が隣にある。
俺は夢をみているのか?
ぼんやりとした頭でそんなことを考えていると、不意に寝返りを打った土浦がこちらを向いた。
そしてその拍子に土浦の指先が俺の腕に触れ、微かな体温が伝わってくる。
そのぬくもりは現実で、夢ではないのだと俺の心まで温かくする。
規則正しい寝息を立てる寝顔は、いつもより少しだけ幼く見えるような気もする。
いつだって素直な表情を見せてくれない土浦だからこそ、こんなにも無防備な顔はたまらなく愛しい。
まだ見たことのない、俺の知らなかった土浦を見せられ、好きになる気持ちが更に増していく。
愛しさが、あふれてくる。
抱き締めたい衝動よりも、今はその寝顔を見つめていることを選ぶ。
俺の知らない君をもっと見たい。俺に、俺だけに見せて欲しい。
目を覚ました君は、どんな表情を俺に見せてくれるだろうか。
2010.2
拍手第7段その5。
笑顔も怒った顔も寝顔も、君のすべてが愛おしい。
朝のほんの一時はネタの宝庫だと思っています。
語らせるのには一番持って来いな時間です。
拍手第7段その5。
笑顔も怒った顔も寝顔も、君のすべてが愛おしい。
朝のほんの一時はネタの宝庫だと思っています。
語らせるのには一番持って来いな時間です。