『音色のお茶会』
「ぬくもりの残る」
月森をウィーンへと見送った。空へと舞い上がる飛行機を見上げたのは、高校の頃から数えて何回目になったのだろうか。
すでに片手では足りず、どこかで数えるのをやめていたからぱっと数字が出てこない。
次々に飛行機が飛び立っていく空を眺めていると、しみじみとした思いが込み上げてくる。
同じ道を歩んでいなくても、俺たちの道はその先のいくつもの場所で交わっている。
傍にいなくても、俺たちの心はいつだって繋がっている。
それでも今は、ほんの少しだけ感傷に浸っていたい。
淋しいと思う気持ちに、慣れてしまわないように。
最後に触れた月森のぬくもりを思い出す。
吹き抜ける風に、身体はすっかり冷やされてしまったけれど。
このぬくもりは、決して消えることなく俺の中に残っている。
2010.1
拍手第6段その5。
俺はそっと目をつぶり、記憶の中のぬくもりに手を触れた。
二人でいるときは口にも顔にも出さないけど、
見送った後はやっぱりちょっぴり淋しいのかな…と。
拍手第6段その5。
俺はそっと目をつぶり、記憶の中のぬくもりに手を触れた。
二人でいるときは口にも顔にも出さないけど、
見送った後はやっぱりちょっぴり淋しいのかな…と。