『音色のお茶会』
「難攻不落の恋心」
人を好きになるという気持ちに初めて気付かせてくれたのは、俺にとっては一番理解不能な思考の持ち主で、どう考えても好きになるようなタイプではない人物だった。だから俺の心がどうして彼に傾いたのか、自分でも未だに理解できないでいる。
もしもあの出会いをやり直せたとしても一目惚れすることは絶対にないだろうと、好きになった今でもそう思ってしまうほどに、第一印象はよくなかった。
それなのに今、俺は彼のことばかりを考えてしまっている。今までに聴いてきた、彼の音色が耳から離れない。
土浦は普通科なのに音楽科の生徒以上の技術でピアノを弾く。
その弾き方はいつも感情が優先していて、初めて聴いたときはあまり好きではなかった。
けれどその音色には人を魅了する力があった。
そして気付けば俺はその音色だけではなく、その音色を奏でる本人にも心を奪われていた。
自分の気持ちに気付いても、俺はこの気持ちを彼には伝えていなかった。
同性だという大きな壁もさることながら、そもそも、伝えるような雰囲気になることが全くない。
口を開けば言い合いになる。言い合うことを避けようと黙っていれば、話す気もないのかと怒り出す。違うと言い返せばそこから言い合いが始まってしまう。
そんな険悪な雰囲気になることはあっても、穏やかに話をしたことなど、今まで一度だってない。
音楽のことで言い合いになるのならば別の話題を、と思っても俺たちに音楽以外の共通の話題があるわけでもなく、挨拶以上の言葉が出てこない。
二人の間にある沈黙はただ、居た堪れない雰囲気を作るだけだ。
どう言えば伝わるのか。どう話せばわかり合えるのか。
とりあえず、今日もまた不機嫌な顔を見せる彼のことを、理解することから始めてみようか。
2009.11
拍手第4段その5。
いつかきっと、攻め落としてみせる。
そのとき君は、どんな顔を見せてくれるだろうか。
自覚症状ありで、攻めあぐねているつっきー。
自覚しちゃえばその後の行動は色々と早い感じがします。
拍手第4段その5。
いつかきっと、攻め落としてみせる。
そのとき君は、どんな顔を見せてくれるだろうか。
自覚症状ありで、攻めあぐねているつっきー。
自覚しちゃえばその後の行動は色々と早い感じがします。