『音色のお茶会』
「建前と本音」
「土浦君って月森君のことどう思ってるの?」という日野の一言に、
「別にどうも思ってないぜ」
と答えながら俺は内心、とっても焦っていた。
月森と俺は仲が悪い。好きとか嫌いとか、そういう感情を感じる前に仲が悪くなっていた。
たぶん、お互いの第一印象は最悪だったと思う。
無関心な態度で否定してきた月森に、俺は思いっきり感情的な態度で反論した。
その後も会う度に言い合いを繰り返してきた俺たちの仲は、悪くなる一方だった。
犬猿の仲、水と油。相容れることはない。
ずっとそう思ってきたのに、ここの所どうも違う感情が俺の心を占めている。
相容れないのならわかりたい。月森のことを、もっと知りたい。
だから、たぶん何気なく言ったのであろう日野の言葉に俺は焦った。そして、
「少しは仲良くなってくれたほうが助かるんだけどな…」
などと言い出した言葉に、俺の本心を見抜かれているような気がしてしまう。
「俺と月森が仲良くって、それはあり得ないだろう」
そう自分で口に出しておきながら、
「まぁ、そうだよね…」
と肯定されてしまうと、それはそれで少し辛くて、俺はそれを苦笑いで誤魔化した。
言い合いばかりを繰り返していたから、仲が悪いのが当たり前になった。
だから違う感情を持ったって、今更どう接していいのかわからない。
「でも、アンサンブル中はなるべく喧嘩しないでね」
少し窺うようにそう言った日野の言葉に、
「努力はするさ」
と答えた俺の言葉は建前なんかじゃなく、いろんな意味で本音なんだと思う。
2009.11
拍手第4段その4。
建前は嫌い。本音は好き。
でもやっぱり、仲いい俺たちってのは想像出来ないか…。
自覚症状ありだけど、持て余し気味のつっちー。
たぶんまだ、L←Rなんだと思います。
拍手第4段その4。
建前は嫌い。本音は好き。
でもやっぱり、仲いい俺たちってのは想像出来ないか…。
自覚症状ありだけど、持て余し気味のつっちー。
たぶんまだ、L←Rなんだと思います。