TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「放課後」

 放課後の練習室。
 曲を弾き終えて、弓を下ろしたその時。
 コツコツ
 背後からガラスをたたく音がする。
 振り返ればそこに、笑顔があった。
 「土浦」
 窓ガラスを開くと風が心地よく流れる。
 「練習か?」
 聞いて来る土浦はジャージ姿で。
 「あぁ。部活、終わったのか」
 もうそんな時間だったのか、と思う。
 「帰ろうと思ったら、ヴァイオリンの音が聴こえたからさ」
 少しそらされた顔が、少し赤く見えた。
 「あー、逢えるかな、って思ってさ」
 そう告げられて、心があたたかくなる。
 「今日は一緒に帰らないか」
 この時間に逢えたことを、感謝したい。
 出来るなら、もう少し一緒にいたい。
 「じゃ、正門前でな」
 そう言って向けられる笑顔が、本当に嬉しくて。
 「またあとで」
 走っていく後姿を見えなくなるまで見送った。
 ヴァイオリンを仕舞う時間ももどかしく、俺は帰り支度を始めた。



2007.12.26
拍手第1段その2。
放課後の練習室ネタは大好きです。
ワンパターンですみません…。