『音色のお茶会』
この恋が永遠ならば3(R18)
肩で息をしていた土浦の息が整うのを待って、俺はそっと触れるだけのキスを落とした。「ん…」
甘い声が漏れ、閉じられていた瞼がゆっくりと開く。
「俺だけ、イかせるなよ」
その視線がほんの少し下へと逸らされたと思えば、するりと伸びてきた手が俺の腰辺りを辿るように触れてきた。
「土浦っ」
それに驚いて思わず声を上げるが、気にするでもなく土浦の手はそのまま前へと回ってくる。
「次は、お前の番だろ…」
何の躊躇いもなく俺自身を捕らえられ、俺は慌てて土浦の腕を掴んだ。
「俺は、いい…」
これ以上してしまったら本当に手放せなくなりそうで、そしてその行為が土浦を傷付けてしまうような気がして俺は自分にも土浦にも制止をかける。
「こんな状態で言う台詞じゃないだろう」
掴まれていても自由になる土浦の指が、俺の先端を軽く掠めていく。どこかじれったいようなその感覚に、ゾクゾクするような快感が身体中に広がり、俺は思わず息を詰めた。
「土、浦…」
濡れた瞳が俺を誘う。赤い唇が俺を惑わす。
なけなしの理性など、あっという間に崩れ落ちていく。
俺は土浦の手をそっと離し、土浦から与えられる快楽に身を任せながら、その手をもう一度、土浦自身へと伸ばした。
「…ぅん…」
お互いのものにお互いが触れ合うというその行為に溺れながら、同じように溺れていく土浦の全身へとまた触れていく。
指で辿り、唇で触れ、肌で伝える。
そうして俺は、もっともっと暖かい場所で土浦を感じたいと思った。その衝動はもう、止められそうにない。
「土浦…」
その意志を伝えるように、それを許してくれるか確かめるように名前を呼び、最奥に隠されたその場所へとそっと指を這わせた。
「あっ」
驚いたような声が上がり、そしてその入り口がきゅっと閉じられたのが指先から伝わる。
「もっと、土浦を感じたい…」
そうささやけば、ひとつ大きな深呼吸をした土浦の身体からゆっくりと力が抜けていく。
「いい、ぜ…」
そろりと両足が開かれ、そして俺の背には土浦の腕が回った。
こうなることは誘うような仕草を見せたときから覚悟はしていたのだろうか。俺を見つめてくるそのまなざしは吸い込まれそうなほどに真っ直ぐだ。
指を舐め濡らし、もう一度その入り口へと触れさせれば、回された腕が微かに震えたのが背中越しに伝わってくる。
本当にこのまま進めてしまっていいのかと躊躇する俺の心を煽るように、早く、と小さな声が耳に届く。
その声に煽られるままそっと指を忍ばせれば、きゅっと眉根が寄せられ、くぐもった声が上がった。
「くぅ、っつ、ぅ…」
それが痛みからくるものであろうことはすぐにわかったが、進める指を止めることが出来ない。土浦の中は熱く、その熱をもっともっと感じたいと思う気持ちが止められない。
「んぁ、あぁ…」
せめて少しでも土浦の気を紛らわせればと身体中への愛撫を再開すれば、徐々に甘い声が上がり始め、身体から余計な力が抜けていった。
けれど指を増やすとまた、苦痛の声を上げさせてしまう。
その表情を心配げに見下ろせば、その視線に気付いたのか瞼が開き、たまっている涙の所為なのか、やけに濡れて揺れる瞳が現れた。
「月、森…」
切なく漏れる吐息混じりで呼ばれる名前に誘われるように口付け、俺は更に土浦の奥を探るように指を動かした。
「っん、っ」
瞬間、今までにない強い反応を返され、思わず指の動きを止める。
「…っ、…」
ぎゅっと指が締め付けられ、そして今度は柔らかく緩む。
もう一度そっと指を動かせば、嫌がるように強く首が振られたがその表情はさっきまでとどこか違う。
「土浦…?」
それがなんだかわからなくて確かめるように名前を呼べば、土浦の中はぎゅっと俺の指を締め付けてくる。その動きにつられるように指を動かせば、土浦はまたさっきのように肩口へと顔を埋めてしまった。
「ここ、か?」
「あぁ!っん、ぅん」
ある考えに思い当たってその一点をわざと強く突けば、締め付けは更に強くなり、一段と甘い声が上がった。
その声をもっと聞きたくて指を動かせば、大きく首を振った土浦の手が俺の腕に触れた。どうやら必死に掴もうとしているらしい。
「月森…お前、また俺だけ、イかせる、つもり、かよ…」
そう言われ、どくりと音を立て心臓が大きく高鳴ったのがわかった。その鼓動で送り出された血液が、一点へと集まっていく。
「俺もお前を、イかせたいって思ってるんだぜ…」
俺を誘うように、土浦の中が収縮を繰り返す。指で感じるこの感触を、俺はもっと違う場所で感じたい。
土浦が、欲しい。
俺は名残を惜しませるようにゆっくりと、指を引き抜いた。