TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「嘘と真の境界線」

 好きじゃないと思う気持ちと、嫌いだと思う気持ちは、似ているようでたぶん似ていない。
 好きなのかと聞かれれば絶対違うと答えるし、嫌いなのかと聞かれればイエスと答える。だが、気になるという感情が心の中にあって、だから嫌いだと断言出来なくなる。
 嫌いだと思う。大嫌いなはず。なのに気になるという小さな感情が言葉を曖昧にして、好きじゃないと言った途端に嘘を吐いた気分になる。好きを否定したことに、罪悪感が生まれる。
 気になるって何だ。嫌いって何だ。好きって何だ。本当の、本心は一体どれだ。
 単純に、嫌いだと言い切れてしまえば楽なのに、気になるという厄介な感情が邪魔をする。
 気に入らないからこそ気になるのか、それとも違う意味で気になっているのか。
 違う。違う。違う。深い意味なんてない。全くない。絶対に、あってはならない。
 俺が、好きになるなんて。
 たぶん気のせいだ。きっと間違いだ。
 誰か嘘だと言ってくれ。悪い冗談だと笑い飛ばしてくれ。
 好きなんて、俺がそんな風に思うなんて、そんなことあるわけがないじゃないか。
 嫌いだと思っていることは嘘じゃない。だが、好きじゃないと思うのはきっと嘘だ。
 でもまだ少し、嫌いだと思わせていてくれ。
 あと少し。もう少し。
 自分の気持ちを素直に認められるまで…。



2013.11 拍手第19弾その1。
まだ素直に認められない感じ

この設定は大好き!
だからいくつも書いていて、ワンパターンになってしまったかもと反省。
なんとなく微妙な感じの言葉のニュアンスって好きです。