TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「time limit」

 突然、突き付けられたタイムリミット。
 来月にはもう、月森はウィーンへと旅立ってしまう。

 何気ない会話の中で、月森から留学という言葉を聞いた。
 それは予想し得たことでもあったが、現実になってみるとやはり驚かずにはいられなかった。

 月森にとって留学は通過点に過ぎなのだろうし、俺に話したのだって深い意味はなかったのだろう。
 そんなことはわかっているのに、俺の胸には小さな痛みが走った。

 反発し合う中で自覚したのは、月森への気持ち。
 それは叶うことなどないであろう、想い。

 だから心の奥に仕舞い込んで、何もなかった風を装って、これまで通りに接することを選んでいた。
 だが、月森はもうすぐいなくなってしまうのだと思えば、仕舞い込んだはずの気持ちが溢れそうになる。

 月森にとっては、俺の気持ちなど知らないまま留学したほうがいいのだろうと思う。
 それでもやっぱり、俺の気持ちを知ってもらいたいと思う。

 ありもしない望みに賭けてみるのはどうだろうか。
 そして嫌われるのなら、決定的に振られて嫌われてしまえばきっと諦められるだろう。

 この気持ちを伝えるべきか否か。
 それを決めるタイムリミットは、もうわずかしか残されていない。



2011.5 拍手第13段その1。
time limit(制限時間)

同じようなネタの話はすでに書いてますよね…。
ワンパターンですみません…。