『音色のお茶会』
「send-off」
「見送りには行かないから」月森に留学の話を打ち明けられたとき、俺はそう答えた。
「わかった」
それに対する月森の返事は、やけにあっさりとしたものだった。
仮にもそういう意味で“お付き合い”している俺たちの間で交わされる会話じゃないと思う。
ちゃんと見送って、頑張れと、そう声を掛けるのがたぶん普通なんだろう。
あるいは、淋しくなるなと、そんな言葉を口に出して見送るべきなのかもしれない。
淋しい、なんて言葉は俺たちには似合わないし、湿っぽくなるのももっと似合わない。
冗談でも行くな、なんて言うつもりも言う気もないし、言って欲しいとも思っていないだろう。
だから俺は、空港には見送りに行かない。
その場になって、本心を吐露してしまうようなことは避けたい。
世界へと踏み出す月森に、心残りなど感じさせたくはない。
だから俺は、笑顔で行って来いと、そう言える場所で送り出そうと思った。
2011.3
拍手第12段その5。
send-off(送別、門出)
素直になれない心の裏側には、隠したい本心が隠れている。
らしくないなぁと思いつつ、こんな土浦君を書くのが好き。
というわけで、OPQRS、でした。
微妙に留学が絡んだ話が多かったような気がします。
そして短めの話ばかりでした…。
拍手第12段その5。
send-off(送別、門出)
素直になれない心の裏側には、隠したい本心が隠れている。
らしくないなぁと思いつつ、こんな土浦君を書くのが好き。
というわけで、OPQRS、でした。
微妙に留学が絡んだ話が多かったような気がします。
そして短めの話ばかりでした…。