TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「gleam of hope」

 好きだと言った俺の告白に対する土浦の答えは、YESでもNOでもなかった。
 いや、俺の本気を冗談にされた時点で、その答えはNOだったのだろう。
 当然といえば当然の答えだった。
 俺も気持ちを自覚したのはつい最近で、それまで恋愛対象という意味で考えたことなど一度もなかった。
 考えるも何も、男同士では普通、恋愛対象には成り得ない。
 それでも土浦に惹かれていることは事実で、それを言葉にすれば好きとしか表現出来ない。

 俺たちが事あるごとにいがみ合っていたというのも、冗談にされた原因だろう。
 音楽性も性格も違い過ぎて、散々、その演奏を批判してきたことは俺もわかっている。
 今更、その演奏込みで土浦を好きなのだと言ったところで、信じてもらえるわけもない。

 気持ちを伝えたからといって、どうにかなるとは始めから思っていなかった。
 けれどこの気持ちを言わずに曖昧な状態を続けていくのも嫌だと思った。
 そう思うことが自分勝手なこともわかっていたから、今以上に嫌われることも覚悟の上だった。
 だが、嫌われてもいいと思っているわけではないし、好きになってもらえるならば嬉しいとは思う。
 どうなるにしても、この気持ちを土浦に伝えないことには何も始まらない。
 そんな気持ちがあったからこそ、俺は土浦にこの気持ちを伝えたのだ。

 俺の気持ちを冗談にされ、嫌われたのだろうと思っていたが、土浦の態度はまた少し違っていた。
 なかったことにされたのだろうかとも思ったが、どうやらそうでもないらしい。
 あからさまな態度で避けられれば気分はよくないが、その後で見せる表情はらしくない弱気なものだ。
 どちらも気付かない振りをしていれば、今度は安堵の表情を浮かべる。
 それは俺のことを意識し始めているからなのだと、そう考えるのは自惚れだろうか。
 もう一度、君が好きだと言ったら、今度はYESの返事を貰えるだろうか。

 一縷の望みに賭けるのはまだ躊躇われるが、いつかまたこの気持ちを伝えようと心に決めた。



2011.1
拍手第10段その7。
gleam of hope(一縷の望み)

望みなどなくとも気持ちを口に出してしまうのはいつものことで、
そして根拠もなく自信満々なことの多い月森君ですが、
今回は少しためらいを持たせてみました。
なのでこの先の進展は遅そうな気がしますよ。

というわけで、ABCDEFG、でした。
甘い感じの話から始まったのに、
自覚話へと戻ってしまったような気がします。