TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「留守番電話」

 買い物をして家に帰れば、電話にはメッセージが残っていることを知らせる赤いランプ
 2件の保存件数を知らせる声に続き、メッセージが流れ始める

『月森君、お元気ですか? 日野です。
 折角日本から掛けたのに留守っていうのは残念だけど、そのまま切るのももったいないのでメッセージを残しておきます。
 えっと、ウィーンでの生活はどうですか?って聞くのは今更だよね。うーん、ウィーンでの新しい生活はどうですか、って聞いたほうがいいのかな。
 まさか二人がってちょっとビックリしちゃったけど。でも…専門は違っても、いいライバル同士なのかな、二人って。ちょっと憧れちゃうなぁ、羨ましいなぁ。私も頑張らなくちゃ!
 本当は色々聞きたかったんだけど、残念だけどまた次の機会にします。
 それじゃあ、また電話するね。土浦君にもよろしくって伝えておいてね。あ、でも、同じ電話使ってるんだよね』

『もしもし、加地です。土浦、元気してる?
 折角掛けたのに留守っていうのはなんてタイミングが悪かったんだろうね。でもこの時間に家に居ないってことは、ウィーンでの生活を満喫してるってことなのかな。
 土浦からウィーンに行くって聞いたときは驚かなかったけど、この前、葉書が届いたときには驚いたよ。まさか行き先がそこだとは思わなかったからね。でも、同じ音楽を目指す者同士、きっといい刺激になるんだろうね。
 本当は色々と真相を聞かせて欲しかったんだけど、やっぱり留守だったのは残念だな。また電話するから、そのときは是非、聞かせてくれると嬉しいな。
 じゃあ、月森にもよろしくって伝えておいて。あ、でも、この電話も二人で一緒に聞いてたりするのかな』

「これは、偶然だと思うか?」
「いや、かなりの確率でわざとだと俺は思う」
「だが、この時間、日本は真夜中じゃないか?」
「だからこそだろう。ったく、あいつらも暇だよな」



2010.1
拍手第6段その9。
新居に電話掛けてみる? それ、賛成!

香穂子と加地君のわざとらしいいたずら電話。
でも、偶然だったらそれはそれで楽しいと思う。

というわけで、うくすつぬふむゆる、でした。
日本とウィーンとか留学とか同居とか…。
繋がっているような、繋がっていないような…。