TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

「十人十色」

 違うから好き。
 同じだから好き。

 君だから、お前だから、好き。

 もしも同じだったら、こんなに惹かれていないと思う。
 揺るぎない意見も考え方も、目指す音色も未来も。
 違うからこそぶつかって、違うからこそ気になって。
 同じである必要はないのだと気付いたときには、好きになっていた。

 好きになると、同じであることにも気付いた。
 奏でる音色が違っても、音楽に対する思いが違っても。
 でも音楽を奏でることの根本は同じ。
 ヴァイオリンが好き。ピアノが好き。音楽が好き。

 君を好きになるなんて思ってもみなかった。
 お前を嫌いだと、ずっとそう思っていた。
 お互いがお互いを、そう思っていた。

 けれど好きだと気付いたら、嫌いだったことなど一度もないのだと、そんなことにも気が付いた。

 一体いつからだろう、この気持ちを自覚したのは。
 一体いつからその存在が、必要不可欠になっていたのだろう。
 たくさんの人の中からたったひとりを選び、選ばれたことは偶然なのか、それとも必然なのだろうか。

 君だからこそ惹かれた。
 お前だからこそ惹かれた。
 誰でもない、たったひとりを俺は好きになった。



2008.10.10
拍手第3段その5。
どれだけの人が居ようとも

ということで六から十までのお話でした。
前半よりも少し長めで、片思いだったり甘々だったり。