? 夜の宴

TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

夜の宴 *

はらり ひらり 揺らされて
はらり ひらり 堕とされて



 夜の静寂に包まれたその部屋に響く、軋んだベッドの音と押さえ切れずに漏れる甘い嬌声
 少しでも長く、少しでも多くの快感を得るために、波のように押し寄せる快楽をやり過ごす

「っあぁ、ぁんっ、つき…」
「っ、土浦…」
「あぁっ、もぅ、月、森っ」
「俺も、土浦…」

 許容量を超えた快楽に襲われ、しがみつくようにすがりつくようにお互いの手を握りしめる
 激しくなるその動きに一気に頂上まで追い上げられ、そして同時に果てる

 吐息まで奪うようなキス
 離すまいと絡み合う指
 深く深く繋がるその場所
 本当にひとつになれたら、どんなにいいだろう

 真っ白になった意識が徐々に色を取り戻し、確かめるように開いた目に愛しい姿が映る
 ずっと見つめていたい気持ちと触れたい気持ちが交錯し、見つめ合ったままキスをする
 ゆっくりと落ちた目蓋を合図に、キスは深いものへと変わる

 何度も求め合い、何度も与え合う
 暗闇に紛れ込み、暗闇に守られるように
 時間の許す限り、時間など忘れたように
 いっそ朝など、来なければいいのに

 けだるさよりもそれを凌駕する心地よさよりも、淋しさに心が苛まれる
 次に逢えるのは一年後か二年後か、それすらわからないから約束も拘束も出来ない
 待っているとも待っていて欲しいとも言えず、名残を惜しむようにキスを交わす

 明けない夜はないとわかっていても、明けることのない夜を望んでしまう
 白々とカーテン越しに差し込む朝の日差しが、二人にタイムリミットを告げる
 別れの朝が今、二人の前に訪れる


はらり ひらり 明ける夜に
はらり ひらり 引き裂かれ




夜の宴
2009.4.15
コルダ話37作目。
両思いなのに約束の出来ない二人。
そんなシーンしか書いていないような気がします…。