TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』 音楽用語のお題

elegy

 そんなこと、とっくにわかっていた。
 けれどそれに、気付かないふりをしていた。

 もうダメかな、と思う。

 久し振りに会っても会話が続かない。
 話す話題がないわけではないのに、言葉は途切れて沈黙が続く。

 流れる曲が哀しすぎる。
 まるで俺たちのために用意されたかのようなその曲が切なすぎる。

 別れたいわけじゃない。
 嫌いになったわけでもないし、他に好きな人が出来たわけでもない。

 でもこの恋は、きっともうすぐ終わる。

 そんなこと、とっくにわかっていた。
 たぶんこの恋が始まったときから、気付いていた。

 静かに流れる曲が終わりを告げる。
 次の曲はまだ、俺には聴こえてこない。



流れるその曲は悲しみの詩
2009.7.9
別れというよりは、恋の終わりといった感じで、
悲しみというより、哀しみのイメージ。