『音色のお茶会』 もしもシリーズ~蓮梁編~
約束
約束は守るべきだということくらいわかっている。けれどこれは、納得して交わされた約束ではないから破ってもいいだろうか。
いやしかし、破ってしまった後のことを考えると簡単に破れるものじゃない。
そう、問題は破ってしまったら待っているであろう仕打ちだ。
だけど約束を守ったとしても、似たようなことになることも俺はわかっている。
もう既にいろんなところで公にされているから、今更と言えば今更な気もする。
それでもやっぱり、公衆の面前でというのはちょっと少しだいぶ恥ずかしい。
文化祭なんて中止になってしまえばいい。
それが無理ならダンスパーティーだけでも中止にして欲しい。
去年は誰もいないと思っていたから、だから蓮の誘いを受けた。
二人の思い出になったから、それでよかったと思っていた。
それなのに何で校内新聞の一面を、そのときの写真が飾っているのだろうか。
それよりも何よりも、なんでその後の、こんな写真まで撮られているんだろうか。
幸いなことにそれは新聞に載ることは免れたが、おかげで一方的に約束を突き付けられた。
その約束を守れば、今年もまた新聞に写真を載せられてしまうのだろう。
そして破ればもう一枚のこの写真が、誰かの目に…。
それだけは絶対に何が何でも嫌だ。
ため息をつきながら思わず写真をみつめれば、あの日のことを思い出す。
そういえばあのとき、俺はすでに蓮と約束をしていた。
誘ってくれるならと、そう答えたのは俺だ。
蓮との約束なら仕方ないか。
さて、蓮にはどんな花が似合うかなと考える俺は、最初から約束を破る気はなかったのかもしれない。
二人の思い出がもうひとつ形となって残るから
2010.6.23
梁太郎の一人称。
拍手お礼で書いた話の続きな感じなので
読まれていない人にはわかりづらいかも(ごめんなさい)
詳しくは蓮梁編設定ページのリンク先を参照してくださいませ…。
梁太郎の一人称。
拍手お礼で書いた話の続きな感じなので
読まれていない人にはわかりづらいかも(ごめんなさい)
詳しくは蓮梁編設定ページのリンク先を参照してくださいませ…。