TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』  もしもシリーズ~蓮梁編~

その想いはどこに?

『うむ~。いくら考えてもわからないのだ』
「どうしたの、リリ」
『うわっ! ビックリなのだ! 急に声を掛けるのはダメなのだ、日野香穂子!』
(リリはいつでもどこでも突然現れるくせに…)
『何か言ったか?』
「ううん、別に。でも本当にどうしたの、練習室なんか覗いて…」
(あれ、月森君だ。今日はめずらしく一人で練習してるんだ)
『日野香穂子、お前は月森蓮のヴァイオリンの音色をどう思う?』
「月森君のヴァイオリンって、本当に上手だよね。最終セレクションのときは本当に素敵で…」
『そこなのだ! 月森蓮が最終セレクションで弾いた曲は最高だったのだ! それなのにどうしてなのだ』
「どうしてって、何が?」
『あの曲をあんな風に弾けるのは、その想いを伝えたい相手がいるからに違いなのだ!』
(うん、確かにね)
『それなのに、その想いが伝わっていないみたいなのだ』
「…え?」
『月森蓮の演奏が、相手に伝わらないなど考えられないのだ』
「えっと、私は思いっ切り伝わっていると思っていたんだけど…」
『何!! 一体誰に、いつの間に伝わっていたのだ。我輩、気付かなかったのだ』
(というか、伝える以前というか、すでに伝わっているからこその音色というか…)
『日野香穂子はその相手を知っているのか?』
「知っているも何も…。月森君を見ていたらわかると思うんだけど」
『誰なのだ。頼む、教えるのだ日野香穂子』
「ねぇ、もしかして、リリって天然?」
『天然? 何を言っているのだ。ファータは養殖できるものではないぞ?』
(うわぁ…)



面白そうだから、しばらく教えないでおこうかな
2010.1.26
香穂子とリリの会話のみで(蓮梁なのに…)
リリはこのままずっと気付かなければいいと思う。
そんなリリがかわいいと思うのですよ。