TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』  もしもシリーズ~蓮梁編~

二人で作る音色

 学内で行われるコンクールの参加者に蓮の名前を見つけたとき、そこに自分の名前がないことを確認して俺は少しホッとしていた。

 蓮と競い合うことも面白そうだとは思うが、コンクールに出ること自体はあまり興味がない。

 こんなことを言うと蓮は渋い顔をするが、過去の経験がどうも俺をコンクール嫌いにしているようだ。

 だから蓮に伴奏を頼まれたときはほんの少し躊躇したが、俺以外の奴に頼むことなんてして欲しくなくて引き受けた。

 蓮の奏でるヴァイオリンの音色は久し振りに舞台に立つ俺の緊張を解き、そして誰もを魅了する音色となって響き渡る。

 その音色を作り出すために俺のピアノが必要ならば俺は喜んで蓮の伴奏者になるし、二人で奏でる演奏が最高の音色となればいいと、心から思った。



同じ音色を作ることが出来る幸せ
2008.12.25
梁太郎の一人称で。
面白そうだったので逆目線も書いてしまいました。
梁太郎の過去にもあのコンクールはあります。
でも人前で弾くことはやめなかったようです。