『音色のお茶会』
「右手にキス」
絡めとった手にそっと唇を押し当てると、土浦は息を詰めたように黙り込んでしまった。鍵盤の上をしなやかに流れていく指は長くて大きいが、紡ぎ出される音色に似てどこか繊細な感じもする。
ピアノを弾くことだけには留まらない不思議なほど器用な土浦の手を、俺は敬意や憧れといった感情でよく見つめていた。
それは土浦にとっても同じらしく、ヴァイオリンやピアノを弾く俺の指を不思議で自分とは違うと土浦は言う。
その、少し照れたような土浦の表情に、どうしようもなく俺は煽られてしまう。
それは俺が、土浦の手だから特別なのだと感じているように、俺の手を特別だと思っていてくれているのだと、そう自惚れてもいいのだろうか。
そう思って土浦を見つめれば、絡めたままの手が強い力で握り返されて土浦の唇へと導かれる。
そのまま触れた唇の熱さと、お前こそ煽るなよ、と告げられた掠れた土浦の声に、俺は土浦を抱き締めずにはいられなかった。
2009.12
拍手第５段その７。
君の手が紡ぎ出す音色を愛おしいと思う。
それ以上に君を、愛おしく思っている。
「ひ」の続きで書いたら、こちらはまた違う雰囲気に。
あぁ、でも甘々ですね、どっちにしても。
拍手第５段その７。
君の手が紡ぎ出す音色を愛おしいと思う。
それ以上に君を、愛おしく思っている。
「ひ」の続きで書いたら、こちらはまた違う雰囲気に。
あぁ、でも甘々ですね、どっちにしても。